第98回日本ハンセン病学会総会・学術大会ご挨拶
はじめまして。第98回日本ハンセン病学会総会・学術大会を、2025年5月22〜23日(木―金曜日)、新潟県新発田市 月岡温泉・華鳳にて、開催させていただきます、新潟大学医学部細菌学の松本壮吉と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
ハンセン病学会総会・学術大会は、「基礎研究」、「臨床医学」、「社会医学」、「社会学」など、異なる分野の研究者が集まる大変ユニークな会となっています。是非、様々な分野から、若い方からベテランの方々まで、たくさんの御参加いただけますと幸甚に存じます。
多様性を映して本会では、基礎的な抗酸菌研究を基盤に、ハンセン病流行地を含め、まさに世界を股にかけて活躍されてこられた、鈴木 定彦 先生(北海道大学)、皮膚科学が御専門で薬疹研究の第一人者であられる阿部 理一郎 先生(新潟大学医学部)、哲学と生物学を融解させた「医療・科学技術と倫理学」が御専門で、ハンセン病問題についての造詣も深い、宮坂 道夫 先生(新潟大学医学部)に、特別講演をお願いさせていただきました。テーマの異なる、非常に魅力的なお話しを、じっくり拝聴できる機会を設けさせていただいております。
本会を温泉宿で開催させていただきますのは、私が「温泉好き」だからでは、ございません。私ごとで僭越ですが、昨今進めております研究は、温泉宿で開催された学会への参加が無ければ出来なかっただろうと感じるからです。若輩のころ私は教室の教授に誘っていただき、宇奈月温泉で行われた、放線菌学会に参加しました。今ネットで検索してみますとそれは、1996年、私が大学を卒業して4年目のことだったようです。すぐに創薬に繋がることはありませんでしたが、ハイランクの温泉宿でひらかれた抗生物質に関する学会で、豊かな気持ちになり、食事、会話、そしてお風呂まで御一緒させていただきました経験が、脳に染み込んでいたように想います。それが良いかは別として、いつしか放線菌に関係する創薬研究に入っておりました。
現在のハンセン病学会総会への参加者は、多くはありません。これはハンセン病の罹患率の低下と関連していることから、ある意味、喜ばしいことだとおもいます。ですから小さな会合ですが、一方でハンセン病に関する問題は、まだまだあり、そして特色のある様々の異分野の方々がお集まりになるということですから、交流が大切だろうと考えました。それで、会をお世話するご依頼をいただきました際、本会の特徴とサイズ感から温泉宿での開催を思いついた次第です。泊まり込みの温泉宿での学会に参加したことが、その後の私にインパクトがあったように、本会が、参加してくださる方々の記憶に残り、その経験が、将来の活動の糧になるようなことがあれば幸甚に存じます。
また本会と同じく、人には多様性があり、夜は一人でないと思考が湧かないという方もいらっしゃるかと存じます。そのような方には、「一晩くらいなら」と会場に皆でお泊まりいただいても結構ですし、温泉郷の別宿や、バスで40分ほどの新潟駅近くの宿に、お泊まりいただいても結構です。いずれにしても、会場にお越しいただければと存じます。
学会場のある月岡温泉は、新潟県で有数の温泉郷です。特に会期中は、長い冬があけ、キラキラと、緑・生命が芽吹く動的な季節で、近隣では「あやめ祭り」なども開催されるとのこと、是非、月岡・新潟まで足を運んでいただき、独特の山あいの田園の中で、豊かな自然を感じながら緩やかな気持ちになられて、学会を十二分に楽しんでいただければと存じます。
皆様のご来訪をこころよりお待ちしています。
第98回日本ハンセン病学会総会・学術大会
会長 松本 壮吉